State of Drupal プレゼンテーション(2026年3月)
この記事は以下の記事を翻訳し、掲載しています。
出典:State of Drupal presentation (March 2026)
今年Drupalは25周年を迎えました。DrupalCon Chicagoはこの節目を記念するのにふさわしい場所だと感じました。私の基調講演は、祝福の場であると同時に、警鐘を鳴らすものでもありました。私はDrupalの基盤について、AIがそれらにどのような影響を与えているか、そしてなぜ私がDrupalの基盤を以前よりも強固に再構築できると信じているのかについて話しました。
基調講演を見逃した方は以下の動画を見るか、スライド資料(32.6MB)をダウンロードすることができます。
サイトテンプレートとマーケットプレイス
約1年前DrupalCon Atlantaで、私はサイトテンプレートと、それに対応するマーケットプレイスの構想を紹介しました。DrupalCon Viennaの時点では、サイトテンプレートは1つありましたが、マーケットプレイスはありませんでした。
今回シカゴでは、marketplace.drupal.orgにある簡易マーケットプレイスで利用可能な11種類のサイトテンプレートを紹介しました。これら11種類はすべてDrupal CMSのインストーラーから直接インストールすることができます。
サイト構築のためのAI
20年以上にわたりDrupalのエコシステムは、プラットフォームそのもの、Drupalを実社会で導入する企業、そしてそれを構築・維持するコミュニティという、安定した三角構造の上に成り立ってきました。この三角構造は、数々の新しい技術の波が押し寄せる中でも、驚くほど強靭であることを証明してきました。
しかし、AIがこれら3つすべてに同時に大きな変化をもたらしてしまったらどうなるでしょうか?私の基調講演では、私たちがそれにどのように対応しているかを紹介しました。
まず私は、Drupalの開発会社にとって一般的になっていくであろうと思われるワークフローのデモをお見せしました。AIを使って15分でWebサイトのプロトタイプを作成し、その後、AIと熟練した開発者の力を借りて、わずか数時間でそれをDrupalのサイトに変換します。
AI によってプロトタイプがすぐに作成できます。Drupalはそこに永続的な基盤を提供します。
この新しい時代において、Drupalには独自の強みがあると私は考えています。 組織には常に、実際の業務に対応したワークフロー、権限管理、セキュリティ、スケーラビリティ、外部連携、コンプライアンス、ガバナンスが求められます。Drupalは、こうしたAI主導のワークフローに非常によく適しています。
このデモが成功したのは、Drupal CMSにDrupal Canvasが標準で搭載されており、CLIツールとAI機能が両方使えるからです。しかし真の強みはDrupalの基盤にあります。つまり25年以上にわたって磨き上げられてきた、API、再利用可能なビルディングブロック、洗練されたアーキテクチャです。これは私が以前書いた「偶然のAI優位性」です。これこそが、AI主導の開発においてDrupalを最も優れたプラットフォームの一つにしている理由です。

コンテンツ管理のためのAI
DrupalCon Viennaで私はContext Control Centerをラフなプロトタイプとして紹介しました。それ以降、多くの機能が追加されています。現在では、ほぼ本番環境で利用可能な状態になっています。
このアイデアはシンプルです。AIエージェントがDrupalでタスク管理を支援するには、適切なコンテキストが必要です。Context Control Centerを使えば、チームはブランドボイス、ターゲット層、キーメッセージ、製品の詳細、編集ガイドラインを一箇所で定義できます。そうすれば、サイト上のすべてのAIエージェントがこの「信頼できる唯一の情報源」から情報を引き出します。その結果、情報を一度定義するだけで、Webサイト上のすべてのページやコンテンツにそれを展開できるようになります。
基調講演では、Context Control Centerの実際の動きを示す2つのデモを披露しました。1つ目はDrupalのAIエージェントが、Drupal Canvasを使用してContext Control Centerを参照しながら、簡単なマーケティングブリーフを元にブランドページを作成し完成させるというものです。AIエージェントは、ブランドルールに従い、必要に応じて確認のための質問を行い、検索向けの構造化データを生成し、相互リンクを追加しました。
2つ目は動的コンテキストの概念実証を紹介しました。これは、Context Control CenterがGoogleアナリティクスからリアルタイムのデータを取得し、公開後のコンテンツパフォーマンス向上を支援するというものです。
AIによる粗悪なコードに「ノー」を言う
AIは、Drupalのようなオープンソースプロジェクトへの貢献のハードルを下げています。理論上はそれは素晴らしいことです。貢献者が増え、パッチが増え、勢いが増します。
しかしそれは大きな課題にもなり得ます。貢献量は増えている一方で、品質は低下しています。より多くのパッチが数少ないメンテナーに届き、質の低いコードをレビューすることで彼らの時間が浪費されています。これがオープンソースの不均衡なプレッシャーを生み出しています。
AIを使って貢献する場合、提出する内容に対する責任は提出者にあります。理解していないコードは提出しないでください。私たちの品質基準は重要であり、私たちはそれを堅持していきます。
私たちの技術は常に進化しています

基調講演では、AIを意義ある形で取り入れた2人のコミュニティメンバーの事例についても紹介しました。
エイダン・フォスター氏は、17年間にわたりFoster Interactiveを率いてきましたが、傍観者でいるのではなく、Drupal AIイニシアチブに全面的に取り組む道を選びました。彼はチームと共に、AIを活用し次の時代に向けて備えるべく、自社の基盤を再構築しています。
また、長年の貢献者でありECAモジュールの作成者であるユルゲン・ハース氏は、AIを活用してチーム全体のスピードを向上させ、DrupalのECAモジュールをより使いやすくしました。どちらのケースにおいても、AIは専門知識を強化するものであり、それを置き換えるものではありません。
世の中はAIが生み出す「平均的なもの」で溢れかえっています。平均的なものは今や簡単に手に入りますが、専門知識は依然として苦労して得るものであり、価値あるものです。このコミュニティは25年をかけてそれを築き上げてきました。それは、AIが再現できるようなものではありません。

AIは嵐であり、その嵐を突き進む道でもあります。私はこの言葉をウィーンで初めて口にしました。それから半年が経った今、この言葉をこれまで以上に確信しています。単なるスローガンではなく、実際に目の当たりにしてきたことです。私たちにはエイダンやユルゲンのような人材がもっと必要です。関わってみたい方は、Drupal Slackに参加するか、この秋開催されるDrupalCon Rotterdamにご参加ください。
今回のプレゼンテーションとデモの成功に貢献してくださったすべての方に、心より感謝申し上げます。特にAdam G-H、Aidan Foster、ASH Sullivan、Christoph Breidert、Cristina Chumillas、Emma Horrell、Gábor Hojtsy、Gurwinder Antal、James Abrahams、Jurgen Haas、Kristen Pol、Lauri Timmanee、Marcus Johansson、Martin Anderson-Clutz、Pamela Barone、Scott Falconer、Tim Lehnenの皆さんに深く感謝します。他にも多くの方々が間接的に貢献してくださり、今回の実現が可能となりました。もしお名前が漏れていましたら、ぜひご連絡ください。
— ドリス・バイタルト
追伸:LinkedInでのディスカッションもぜひご覧ください。
