Drupal 11.3.0が公開されました
この記事は以下の記事を翻訳し、掲載しています。
出典:https://www.drupal.org/blog/drupal-11-3-0
Drupal 11の第3の機能リリースが登場し、過去10年で最大のパフォーマンス向上を実現しました。同じデータベース負荷で26~33%多くのリクエストを処理することができます。新しい標準搭載のHTMXサポートにより、JavaScriptを最大71%削減したリッチなユーザー体験を実現します。さらに、新しい安定版のNavigationモジュール、改良されたCKEditorコンテンツ編集、標準搭載のコンテンツエクスポート機能、テーマ向けのより整理されたOOPフックも利用可能です。

Drupal 11.3の新機能
過去10年で最大のパフォーマンス向上
コールドキャッシュとウォームキャッシュのいずれにおいても、データベースクエリおよびキャッシュ操作が大幅に削減されました。自動テストでは、コールドキャッシュに対する新しい最適化では約3分の1、部分的にウォームなキャッシュリクエストでは最大4分の1の削減を確認しています。独立型テストでは複雑なサイトでさらに大きな改善が確認されています。
レンダリング層とキャッシュ層では、特にパスエイリアス処理やエンティティの読み込みにおいて、データベース操作とキャッシュ操作が統合されました。BigPipeもフロントエンドでHTMXを採用し、JavaScriptの容量を大幅に削減しています。
Drupal 11.3.0のパフォーマンス改善について詳しく読む
標準搭載のHTMX:JavaScriptを最大71%削減したリッチなユーザー体験
Drupal 11.3.0は、強力で依存関係フリーのJavaScriptライブラリであるHTMXを統合しました。HTMXにより、開発者は高速でインタラクティブなユーザーインターフェースをより効率的に構築できるようになります。モダンなブラウザ機能をHTMLの属性として直接利用可能にすることで、従来必要だった大量のカスタムJavaScriptを大幅に削減します。
Drupal 11.3.0におけるHTMXサポートについて詳しく読む
ナビゲーションモジュールが安定版に
ナビゲーションモジュールが安定版となり、以前のToolbarよりも優れたモダンな体験を提供します。すべてのサイトで導入する価値がありますが、複雑な管理構造を持つサイトでは特に有用です。まだデフォルト設定ではありませんが、さらなる改善のためにも、ユーザーの皆さんには切り替えを強く推奨します。
改善されたコンテンツ編集
CKEditorでは、オートコンプリートやドロップダウンからの選択でサイト内のコンテンツにリンクする機能が標準でサポートされるようになりました(エンティティ参照を利用します)。また、リストの箇条書き・番号付けの書式設定に関する新しいユーザーフレンドリーなオプションが追加されました。さらに、 コンテンツの公開状態を管理するための専用の「ノード公開状態の管理(Administer node published status)」権限が新たに導入されました。(これにより、これまで必要だった「Administer nodes」権限を付与する必要がなくなります。)
テーマにおけるオブジェクト指向のフック
テーマでも、モジュールと同様に#[Hook()]属性システムを利用できるようになりました。テーマの名前空間はサービスコンテナに登録されるため、より簡単に統合できます。これによりテーマ開発者は、より整備され構造化されたコードを記述できるようになります。テーマのOOPフックの実装はモジュールと同様にsrc/Hook/ディレクトリに配置されます。テーマは通常フックと変更フックの両方について定義済みサブセットをサポートします。
コンテンツエクスポートの標準サポート
コントリビュートモジュールであるDefault Contentモジュールで導入されたものと同じ形式でコンテンツをエクスポートするコマンドラインのツールがDrupalコアに組み込まれました。Drupalは単一のエンティティを一度にエクスポートできますが、エンティティの依存関係(参照している画像やタクソノミーなど)を自動的にエクスポートすることも可能です。エクスポートツールを使用するには、Drupalのサイトのルートディレクトリから以下を実行します。php core/scripts/drupal content:export ENTITY_TYPE_ID ENTITY_ID
PHP 8.5のサポート
PHP 8.5自体は先月リリースされました。Drupal 11.3.0はPHP 8.5との完全な互換性とサポートを保証するだけでなく、コアテストもPHP 8.5上で実行されるようになりました。PHP 8.5は、2026年にリリース予定のDrupal 12における必要最低バージョンとなる見込みです。
並列クエリに対応する新しい実験的なMySQL/MariaDB向けのデータベースドライバ
MySQLおよびMariaDB向けに、新しい実験的なMySQLiデータベースドライバが追加されました。現時点では完全にはサポートされておらず、ユーザーインターフェースからは非表示となっています。
現在デフォルトのドライバは、MySQLやMariaDBに接続する際にPDOを使用していますが、この新しいデータベースドライバは代わりにmysqli PHP拡張機能を利用します。MySQLiはより現代的で、PDOのような順次処理ではなく、データベースクエリの並列実行を可能にします。将来のDrupalリリースでは非同期データベースクエリのサポートの追加を予定しています。
コアメンテナーチームの更新
Drupal 11.2以降、全てのサブシステムメンテナおよびトピックメンテナに対し、現在の職を継続したいかどうかの意向確認を実施しました。何人かの長期貢献者が退任し、新規貢献者向けのポジションが空きました。彼らのこれまでの貢献に感謝します。
加えて、Roy Scholtenがユーザビリティのメンテナー職およびDrupalコアのプロダクトマネージャー職から退きました。彼はしばらく活動していませんでしたが、2007年以降のDrupalへの貢献は計り知れません。彼の参加に感謝します!
Mohit AgheraがFileサブシステムのメンテナーとして加わりました。Shawn DuncanがAjaxサブシステムの新メンテナーです。David CameronがLink Fieldモジュールのメンテナーに追加されました。Pierre DureauとFlorent TorregrosaがAsset Library APIのメンテナーとなりました。最後に、codebymikeyがBasic Authの新メンテナーです。
今後はコアメンテナーの任命を年次でレビューする予定です。これにより、メンテナーが役割を移行したり退任したりする際の負担を軽減し、新たな貢献者にもより多くの機会を提供できることを期待しています。
参加したいですか?
DrupalユーザーからDrupalコントリビューターへの飛躍を目指している方や、チームの専門性向上の一環としてリソースを共有したい方は、Drupalのスキルセットを深めコミュニティに貢献する多くの機会があります。Drupalコントリビューターガイドをご確認ください。
2026年3月に開催されるDrupalCon Chicagoへのご参加を心より歓迎します。セッションへの参加、ネットワーキング、初めての貢献に向けたメンターシップをお楽しみください。
コアリーダーシップチームは、プロジェクトを支える新たな貢献者を常に求めています。最近では様々な機会が新たに生まれています。Drupalのスキルセットを深めたい方は、オープンサブシステムおよびトピックメンテナーの役割について詳しく読み、専門知識を活かした貢献への一歩を踏み出すことを検討されることをお勧めします。
Drupal 10.6も利用可能になりました
Drupal 10の次のメンテナンスマイナーリリースも公開されました。Drupal 12のリリース後、2026年12月9日までサポートされます。Drupal 10の長期サポートにより、サイトはDrupalの依存関係を最新の状態に保ちつつ、準備が整った段階でDrupal 11へ移行する柔軟性が得られます。
このリリーススケジュールにより、必要な場合には長期サポート版から次の長期サポート版へ移行することも可能です。メンテナンスマイナーリリースに関する詳細は、新メジャーリリーススケジュールに関する以前の投稿をご覧ください。
