State of Drupalプレゼンテーション(2023年10月)

この記事は以下の記事を翻訳し、掲載しています。
出典:State of Drupal presentation (October 2023)

DrupalConヨーロッパ2023 DriesNoteプレゼンテーション

先週、約1,300人のDrupalユーザーがDrupalConのためフランスのリールに集結しました。良き伝統に従い私は、一般に”Driesnote”と呼ばれているState of Drupal基調講演を行いました。私の基調講演は動画で見るか、スライド資料(264MB)をダウンロードすることができます。

今回の基調講演は他の講演とは異なるものになりました。私は、DrupalコミュニティがDrupalウェブサイトの開始、構築、維持のプロセスをシンプルにするためにどのように取り組んでいるかを探るおとぎ話を語りました。はい、そうです、おとぎ話です。ただし安心してください。これはハッピーエンドのおとぎ話です。

もしあなたがDrupalのおとぎ話の魔法をフルに体験したい場合は、このブログを読む代わりに動画を視聴することを強くお勧めします。また、ネタバレを避けたい場合はここで読むのをやめてください。

4つの都市の物語:競合他社から学ぶ

スピーカーとして、私はDrupalに関連するミステリアスな本を発見したことから始まる旅に皆さんをお連れしました。この本はアナロジーを使い、DrupalをDrupal村に住む登場人物として説明しています。この村には、居心地の良いコテージから壮大な屋敷までさまざまなタイプの家があります。この賑やかな村で、野心的な村人たちは協力して自分たちの家を建て手入れをしていました。

Drupal村の住人たちは、創造性、柔軟性、拡張性、アクセシビリティ、コラボレーション、権限付与、セキュリティ、自由などのコアバリューを大切にしています。

Drupal村では1人の若い建築家が、家を建て維持することに対する課題にイライラを募らせていました。別のアプローチへの好奇心に駆られたその若い建築家は、Drupal村を離れ近隣の町へ旅に出る大胆な決断をします。彼の目的は、家の建築により優れた他の方法があるかを探り出すことでした。

A person wearing a blue cloak leaving a drop-shaped floating island known as Drupal Village.
画像:物語の登場人物Drupalは近隣の村へ訪問するため村を出ます。

この物語の中心人物であるDrupalはその若い建築家を追うことに決め、Reactopia、Contentville、Squarix、Edoby Heightsという4つのユニークな村へ続く旅に出ます。旅の中でDrupalはそれぞれのユニークな村から貴重な知見を得ます。村の欠点を発見することもある一方で、Drupalはなぜこれらの村が若い建築家たちを魅了するのかを理解しました。

Four illustrated characters, each representing a website building platform: "React" is a tall figure with a fashionable hat, described as great for developers but not for marketers; "Contentful" is a character with a floating head, known for being easy to begin with but suffering vendor lock-in issues; "Squarespace & Wix" are reptile-like figures, marked as limited but easy to use and auto-updated; and "Adobe" is a character with a posh outfit, labeled as expensive but powerful.
画像:Reactopia、Contentville、Squarix、Edoby Heightsへの訪問から得られた教訓の要約。

4つの村のそれぞれの強みを学んだDrupalは、Drupal村が繁栄するには優れたビルダーエクスペリエンスを提供しなければならないと気が付きました。さらにDrupalは4つの村を訪れる中で、優れたエクスペリエンスとはどういうものなのか明確なアイデアを持つようになりました。明確な目標を持ったDrupalは、Drupal村での建築の開始、構築、維持のプロセスをシンプルにすることを決定します。

Illustrations of the Drupal character in historical clothing with captions: 'Easier to start', 'Easier to build', and 'Easier to maintain'.
画像:Drupalは、Drupal村が繁栄するにはビルダーエクスペリエンスが格別であるべきー開始し構築することが簡単で維持することが楽であるべきーということを理解しました。

Drupalはコミュニティから最も熟練した職人たちをOuiWorkという近くのアトリエに集めました。この共同スペースでリーダーであるTim Plunkett(Acquia)、Cristina Chumillas(Lullabot)、Lauri Eskola(Acquia)はそれぞれが取り組んでいる作業に関する貴重な知見を共有しました。

具体的には、Project BrowserAutomatic Updatesのイニシアティブの重要性について話しました。これらのイニシアティブによりDrupalサイトの開始と維持のプロセスが合理化されます。私たちの目標は、Automatic UpdatesとProject Browserを2024年6月にリリース予定のDrupal 10.3に組み込むことです。この目標を達成することは、10年以上にわたる献身的な取り組みの集大成となります。私はDrupalのAutomatic UpdatesとProject Browserが、すべてのPHPアプリケーションの中で最も高度でセキュリティ意識の高いツールになると信じています。

私はまたDrupalでの構築を容易にするためのさまざまな取り組みを強調しました。これにはコンテンツモデリング機能の改善(ビデオセグメントをご覧ください)やDrupalの管理ツールバーの拡張(ビデオセグメントをご覧ください)が含まれます。これらの作業はデザインファーストなアプローチに従うだけでなく、私たちが取り組み協力する方法の変化を強調し、私たちの急速な進歩を遂げる能力を示しています。

A person in a blue cloak on a stage in the middle of an old town square, speaking to villagers who gathered around.
画像:Drupalは新しい戦略的イニシアティブNext Generation Page Builderを発表します。

最後に私はDrupalでのページ構築のユーザーエクスペリエンスを向上させることを狙った新しい戦略的イニシアティブを紹介しました(ビデオセグメントをご覧ください)。このイニシアティブはNext Generation Page Builderと呼ばれ、Drupal8で初めて導入されたDrupalのレイアウトビルダーを改善することに焦点を当てています。

暗雲を越えて: オープンウェブを提唱する

A dark illustration showing hooded figures casting dark clouds. The figures and clouds represent the negative aspects of a closed web, and are described with words such as 'vendor lock-in', 'centralization' and 'data misuse'.
画像:Drupal村に暗雲を放つクローズドウェブの支持者たち。

ビルダーエクスペリエンスの向上に取り組んだ後Drupalが戻ると、Drupal村は暗雲に包まれていました。これらの不吉な雲は物語の悪党であるクローズドウェブの支持者によるものです。希望の光はゴッドファーザーTim Berners-Leeの訪問という形で訪れます。この訪問によりDrupalはオープンウェブの揺るぎない促進者・保護者となるようインスパイアされました。朝になるとDrupalはオープンウェブマニフェストを書き始めました。この重要な文書は、よりアクセスしやすく包括的なデジタルの未来の創造という共通のコミットメントでコミュニティ全体を結びつけます。

Drupalのマーケティングの役割: Drupalの輝き

Three wise sorcerers in robes and pointy hats, symbolizing members of the Drupal Marketing Committee.
画像:Drupalは魔法(マーケティング)のパワーを持つ3人の魔法使いに助けを求めます。

残念ながらオープンウェブマニフェストだけではクローズドウェブの支持者による暗雲を完全に取り除くことはできません。暗雲が近づき村を覆い隠すようになると、Drupalは3人の強力な魔法使いに助けを求めました。魔法使いは魔法を使って暗雲を晴らし、Drupal村で行われている素晴らしい取り組みを世界中に向けて明らかにしました。

実際には、これらの「魔法使い」はDrupal Marketing Committeeです。彼らのミッションはDrupalを促進し素晴らしい成果を披露しDrupalにスポットライトを当てることです。ゴールは、マーケティングのために重要なリソースを持っているより多くの人々に対してクローズドウェブのソリューションとしてDrupalの検討を促すことです。

Drupal AssociationはDrupalConピッツバーグ終了後にDrupal Marketing Committeeを立ち上げました。この委員会はLynne Capozzi(元Acquia CMO)、Suzanne Dergacheva(Evolving Web)、Nikhil Deshpande(ジョージア州)などの経験豊富なマーケティング専門家で構成され、Drupalの20年以上の歴史で初めてDrupalのマーケティング戦略を進めています。
私は基調講演中に彼らとステージでインタビューを行う栄誉を得て、Drupalにとってのマーケティングの重要性とマーケティングがDrupalコミュニティにどのように影響を与える可能性があるかについて話しました(ビデオセグメントをご覧ください)。

私たちは今後数年間、Drupalのマーケティング活動への投資に尽力します。マーケティングのプラン全容は今年の終わりに向けて公開される予定ですが、以下のようなことが期待されています。

  • 外部の人々や評価する人にフォーカスした新しいウェブサイトの設立
  • 新しい才能を引き寄せることを目的とした集中的なメッセージングによるDrupalブランドのリフレッシュ
  • Drupalの可視性とカンファレンスでの存在感の向上
  • 大学との関係の拡大
  • Drupal Certified Partnersのへの参加の増加

Drupal Marketing Committeeは、すべてのDrupalコミュニティのメンバが私たちのマーケティング活動に参加することを歓迎します。

Drupalの3つの約束

物語の重要人物だったDrupalは最後に重要な3つの約束をしました。

  • ビルダーエクスペリエンスを向上させ、Drupalサイトの開始、構築、維持をより簡単にする。
  • オープンウェブを推奨し、より包括的でアクセシブルなデジタルの未来を推進する。
  • マーケティング活動を強化し、Drupalで行われている素晴らしい取り組みを強調し、Drupalの市場での到達範囲と影響力を拡大する。

これらの約束が進行するにつれ、暗雲は消えていきます。晴れていくと、村の未来は新たな希望で輝き、あの熱心な若い建築家も家に戻ります。

A scene of the Drupal Village showing hot air balloons, villagers celebrating, and picturesque castles.
画像:暗雲が消えDrupal村は祝いました。意欲的な村人たちにとってそこがどれほど良い場所であるか、ようやく明らかになりました。

Thank you

最後になりましたが、DrupalConリールを大成功に導いてくれた皆様に感謝申し上げます。私はいつもインスパイアされアイデアでいっぱいになって帰りますが、今年も例外ではありません。Drupal村の長く繁栄する未来とその野心的な住民に乾杯!私たちのコミュニティとソフトウェアを共に成長させながら、このおとぎ話の未来のチャプターを共有できることを楽しみにしています!

— Dries Buytaert