『DrupalCon North America 2022』 Driesnoteのプレゼンテーション
この記事は以下の記事を翻訳し、掲載しています。
出典:State of Drupal presentation (April 2022)
----------------
『DrupalCon Portland 2022』で行われたDriesnoteの様子は動画視聴、またはスライドで閲覧できます。
このプレゼンテーションではさまざまな分野に触れました。そのため、3部構成のブログ記事で要約を作成しています。
以下の第1弾で焦点を置いたのは、Drupal 10のアップデートです。今週中に第2弾と第3弾を公開し、Drupalの進化した目標やビジョン、そしてDrupal 11が提案するイニシアチブについてを取り上げたいと思います。
Drupalはウクライナを支持します
ウクライナで失われている命と破壊について触れることなく、プレゼンテーションを始めることはできませんでした。Drupalコミュニティの多数がその事に影響を受けており、大変痛ましい出来事です。
ご存じないかもしれませんが、ウクライナはDrupalへの貢献が世界で6番目に活発な国です。これを1人当たりの貢献に換算すれば、ウクライナの貢献はよりいっそう有意になります。
私自身もDrupal アソシエーションも、ロシアによるウクライナへの攻撃を強く非難します。支援方法について関心のある方が多いのではないでしょうか。
Drupalアソシエーションでは、慈善寄付を受け付けている団体の一覧を作成しました。
Drupal 10の最新情報
続いて、Drupal 10の最新情報をご報告しました。2022年6月に予定していたDrupal 10のリリースについては、2022年12月への延期が決定しています。
日程を遅らせなければならなかったのは、CKEditor 5の移行パスにおいて更なる作業が必要になったためです。
CKEditor 4のCKEditor 5へのアップグレードが進行中ですが、CKEditor 5は完全な書き直しです。そのため、アップグレードパスも後方互換性も利用できません。
Drupalユーザーの皆さまが簡単にアップグレードを行えるよう、Drupalコミュニティ(特にAcquia)はCKEditorのアップグレードパスに膨大な時間をかけて取り組んできました。
そちらが順調に進む一方で、その他のアップグレード課題について、さらに多くの時間が必要になっています。幸いにも、CKEditorの開発元であるCKSourceから多大な支援をいただいています。
次に、Drupal 10の3つの重要な事実について解説しました。
1.Symfony 6.2
Drupal 10は、大きく依存するPHPフレームワークであるSymfonyを、Symfony 4からSymfony 6.2へとアップグレードします。Drupal 10のリリース時点において最新かつ最高の製品はSymfony 6.2です。プランニング目的上、カスタマイズしたDropalモジュールでSymfonyのコンポーネントを使用する場合には、それらをSymfony 6.xへアップグレードしていただく必要があります。
2.PHP 8.1
PHPの最低要件に関しては、Drupal 9ではPHP 7.4としていたものをDrupal 10でPHP 8.1へと変更しました。
これについては、Symfpny 6.2がPHP 8.1を必要とするのが主な理由です。Drupalユーザーは、新バージョンのPHPにおけるさまざまな改善の恩恵を受けることになります。なお、これに伴いカスタムコードのアップグレードが必要になる場合もあります。
Drupal 9.3はPHP 8.1とご利用いただけますので、その作業をDrupal 9.3で始めることが可能です。Durupal 10に向けて推奨される準備方法の1つとしてご検討ください。
3.Drupal 9のEOL(製品寿命)
Drupal 9のEOLは、2023年11月を予定しています。Drupal 10のリリース後、Drupal 9のウェブサイトをDrupal 10へアップグレードするための期間は11か月です。
喜ばしいことに、このアップグレードはDrupal史上最も簡単なものになるはずです。Drupal 9のリリース日には、貢献プロジェクトにおける非推奨API使用の71%で自動変換が行われました。現在では全ての貢献プロジェクトにわたり、Drupal 10の非推奨API使用の93%に自動変換が実施されます。
Drupal 10のリリースまでに、この自動変換率をさらに高めるべく取り組んでいます。
このように、Drupal 10の5つの主要イニシアチブについてご期待いただける情報をお伝えしました。
・Olivero
Drupalの新しいフロントエンドテーマ、Oliveroを安定してご利用いただけるようになりました。こちらは、これまで公開されたものの中で最もアクセスが容易なテーマです。DrupalConでは、OliveroはDrupal 10のデフォルトテーマにもなりました。
Drupal 10をインストールする全ての方を、新しいフロントエンドテーマでお迎えします。現在のデフォルトテーマであるBartikは11年間使用されているものです。従ってこれは大変大きな変更です。
・Claro
DrupalConでは、Drupalの新しいバックエンドテーマであるClaroも新しいデフォルトの管理テーマになりました。もう1つの、祝うべき画期的出来事です。
・Starterkit
Starterkitは、Drupalでテーマを作成する新しい方法です。こちらはDrupal 10のリリース日までに安定してご利用いただけるようになる見込みです。
Starterkitのリリースは、Drupal Coreでのテーマ改良に、より迅速に動けるようになることを意味します。また、Drupalのアップグレードがサイトテーマを壊すかどうかについて、エンドユーザーが心配する必要もなくなります。
Starterkitは、根幹の基本テーマをサブテーマ化する代わりに最新のデフォルトからスターターテーマを生成します。この新しいテーマはクローンやフォークのようなもので、ランタイムに関して根幹の基本テーマへ依存するものではありません。
・CKEditor5
コンテンツオーサリング体験において、大きく前進しました。最新情報に関してはこちらの動画をご覧ください。
・自動アップデート
Drupalコミュニティで最も要望の多い機能、自動アップデートも順調に進んでいます。
Drupal 10の初期のマイナーバージョンの1つで自動アップデートの実施を計画しています。コミュニティから試運転に協力を得て早期に完成することができれば、12月にバージョン10.0での実施さえ可能かもしれません。詳細はこちらの動画でご確認ください。
今週内に公開を予定している第2弾、第3弾のこのブログシリーズでは、Drupal 11の戦略と提案されているイニシアチブについてを取り上げます。